とりあえず移転してみました

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1人会社の解散を決めました Part10 最後の大事な話

 会社の清算で、一番最後の本当に大事な部分があります。解散を決める前にも知っておくべき話ですが、会社の債務がどうなっているか?銀行からの借り入れ、個人的な借り入れなどが返済できるか?この部分は、返済できないと「倒産」ということになりますので、手続きを含めて大変になります。

 しかし、1人でやっているようなレベルだと基本的には、社長である代表取締役からの個人的な借入金で、なんとかやっている状態ではないでしょうか。その場合でも、会社から見れば負債は、負債です。この負債が無くならない限りは、会社は清算できません。

 会社に返済できるだけのお金があれば、返済して終わりですが、返済するお金があるなら、そもそも個人的に会社にお金を入れる必要はないのです。そういう状況を考えると、社長の借入金というのは、「債務免除」という形で処理するしかありません。簡単に言えば、借金の帳消しになるということです。

 その方法があるなら、それで終わるかというと、ここからが面倒な話です。債務免除というのは、会社から見れば借金がなくなったので「利益」になります。なんか変な話ですが、債務免除で利益が出ると、なんと課税される可能性があるのです。会社清算について、色々と調べているときに、本当に驚いたのを覚えています。

 ちなみに、会計上の仕分けでは、以下のような内容になります。

 借入金 (金額) / 債務免除益 (金額)

 左の借り方の借入金の金額は、現在の借入金と同じ金額にすることで、0とできます。代わりに、右の貸方に債務免除益として、同じ金額が発生します。これが、今期の収益(特別利益)となります。

 会計ソフトによっては、債務免除益という項目がないこともありますので、その場合は自分で追加する必要があります。Freeway経理Liteというソフトでは、特別利益は「9110-9170」のコードの範囲になっていますので、このコードの範囲で設定すると、P/Lでも、特別利益の項目に記載されます。

 次は、この意味不明な利益をどうするのか?平成22年の税制改正で「期限切れ欠損金の損金算入」というのが認められています。これも、意味不明ですね。通常の確定申告でも、欠損金としては、青色申告をしている場合に、最大で10年分の損金を損金算入できます。過去の損金を、利益が出た年度に損金をあてて、利益を減らすことができるのです。ただし、期限が決まっていますので、期限切れの場合は使えません。

 しかし、法人が解散した場合は、この期限が切れた欠損金も損金算入できるということなんです。ただ、これも条件があって、解散した法人が清算中の事業年度において、青色欠損金、災害欠損金を控除した後の金額について、その事業年度の所得金額を上限として、損金算入できる。となっています。さらに、この適用は残余財産がない場合となりますので、残余財産があるような場合は、適用されません。

 残余財産があるなら、その残余財産で返済するわけで、残余財産が土地とか建物なんかの場合に、借金はあるけど、資産があるので適用できませんという事になるということでしょう。

 重要なポイントとしては、法人が解散した後の清算事業年度において適用されるという事で、解散が決まったからということで、解散を登記する前の通常の事業年度に債務免除してしまうと、金額によっては課税される可能性があるということです。

 まずは、法人として解散をして、その清算中の事業年度に、債務免除も行う。その際には、まずは青色欠損金の分を減らした金額が期限切れ欠損金となります。期限切れ欠損金の上限は、繰越利益剰余金の金額です。借入のほうが多い場合は、この金額がマイナスになっているはずです。

 このマイナス分は、最大で期限切れ欠損金として損金算入できるという仕組みです。ただし、青色欠損金や災害欠損金があれば、先にそちらから使いましょうということです。

 ・債務免除益
 ・繰越利益剰余金 ー 青色欠損金、災害欠損金の控除額
 ・所得金額 ー 青色欠損金、災害欠損金の控除額

 上記の中で、一番少ない額が期限切れ欠損金として、損金算入できます。所得金額から、青色欠損金、災害欠損金の控除額から引かれた金額が期限切れ欠損金とできることから、清算する法人で、財産がないことが明白なら、税金はとらない。というか、そもそも取れないということでしょう。改正する前は、取っていたのだろうか?日本の税制って、どうなんだろう?

 欠損金の損金算入については、別表七(四)で記載するようになっていました。本などでは、別表七(三)と書かれているのですが、新しい書式では、別表七(四)になっていました。書くことは、同じなので、記載されている中身を見て金額を書いていけば、簡単に記入できます。

 確定申告で、計算が面倒で一番大事な部分なので、ここをクリアすれば後は、いつもと同じです。確定申告をして、清算結了届を法務局に提出。法務局で手続きが完了したら、登記簿の写しを入手して、税務署へ異動届を提出して、法人は清算となります。

 お疲れさまでした。