キックボクシング、MMAで無敗の那須川天心選手がボクシングへの転向を表明している。それより前には、K−1王者の武居由樹選手がボクシングに転向した。武居由樹選手も、チャンピオンでこれからの活躍が期待されていただけに残念。
そもそも、日本でキックボクシングが誕生したのは、日本の空手などの武道ベースの打撃格闘技がムエタイに敵わなかったことから始まっている。リングの上で、グローブをつけて戦うムエタイの方が、日本の打撃格闘技よりも経験も技も上だった。
その段階で、空手、少林寺拳法、日本拳法などをベースとしたジムができて、それぞれが競技団体を作ってチャンピオンを決めていた。その流れは、基本的に変わらない。キックボクシングの団体は、多くできてルールも違っていた。
そんな中で、K−1が誕生。Kenpo Karate Kick など頭文字がKの競技のチャンピオンを決めようという考えだった。ムエタイとは異なり、ひじの攻撃はなし。つかんでの膝がないなどムエタイの選手が、そのままでは勝てないルールで世界中のチャンピオンを集めて世界中に人気の競技となった。
それ以外にも、様々な団体がありキックボクシングはチャンピオンが乱立しているのは変わらなかった。
ボクシングも、初めはWBA、WBCの2団体だったのが、WBO、IBFも加わり、主要4団体となったが、ボクシングはルールについて大きな違いはない。ノックダウンを何回認めるか?とか採点基準などに違いがあるけど、基本ルールは変わらない。
ところが、キックボクシングでは膝の有無、肘の有無、首相撲の有無、などで細かく違いがある。統一したチャンピオンというのが決めにくい。結果として、それぞれの団体でしか試合ができないという閉じた世界になってしまう。
ボクシングでは、それぞれの団体の統一戦などで盛り上がり、WBSSもそれぞれの団体のチャンピオン、トップクラスの選手を集めてトーナメントを行なっている。
キックボクシングの世界では、kー1の武尊選手とRISEの那須川選手が試合することも、全然決まらないくらい難しい。
那須川選手も、今の状態だと国内では対戦相手がいない。ボクシングでは、世界中に多くの強豪がいる。キックボクシングでは、ルールなどを事前に細かく決めておかないといけない。キックボクシングでは、多くの団体があるので階級ごとにチャンピオンがいないという状態のところも多い。
そんな状態では、団体ごとの統一戦なんて言っても盛り上がらない。
競技人口も少ないので、キックボクシングの選手だけで生活できる人なんて皆無だろう。ボクシングの世界でも、世界チャンピオンになっても、ボクシングだけで生活できない人も多い。それでも、キックボクシングの選手よりはましだろう。
ボクシングの世界戦で、アメリカのカジノで開催されれば高額のファイトマネーが支払われる。世界中に、名が知れ渡ることにもなる。残念ながら、ボクシングの方が知名度、ギャラ、選手層などで優れている。
キックボクシングも、団体ごとに統一できるような共通のルールが必要ではないのだろうか?
優秀な選手がボクシングに転向していくのを見ていると少し悲しい。